【解説】股関節症は股関節の軟骨がすり減ったり、変形したりすることでの痛み・症状が出ます。理学療法士が一人ひとり異なる股関節症の痛みの改善法を指南!

股関節症の痛みはさまざまです。
「立ち上がりや歩き始めに股関節が痛む」
「股関節を動かすと痛みがある」
「股関節が腫れている」
「股関節が熱を持っている」
「股関節が変形している」
「股関節がグラグラする」
「股関節に力が入らない」
「股関節の痛みで夜眠れない」
「股関節の痛みで日常生活に支障が出ている」
これらの症状は、股関節症の原因を突き止めるヒントになります。
私たち『整体院つなぐ』に来院された股関節の痛みで苦しむ患者様の訴えです。
「仕事で階段を降りるのが辛い…」
「車に乗るときと降りるときに痛い…」
「職場の人には言えなくて、我慢してます…」
「立ち仕事で、座らないと辛いけど、周りに気をつかうんです…」
「いくつも整骨院に行ってみたけど、股関節の痛みが良くならない…」
股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、変形したりすることで、痛みや機能障害を引き起こす疾患の総称です。
股関節の痛みといっても症状、原因は一人ひとり違います。
このような症状が気になれば、早めに専門家にご相談ください。
目次
1.股関節の痛み|股関節症の種類と原因

はじめに、股関節症の種類とその原因について解説します。
(1)股関節症の種類
股関節症にはさまざまな種類があります。主なものは以下の通りです。
変形性股関節症
加齢や股関節の形成不全などが原因で、軟骨が徐々にすり減り、痛みや可動域制限が生じます。
原因が特定できない「一次性変形性股関節症」と、寛骨臼形成不全、臼蓋形成不全、大腿骨頭壊死などが原因である「二次性変形性股関節症」があります。
関節リウマチ
自己免疫疾患の一種で、関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されます。
大腿骨頭壊死
大腿骨頭への血流が途絶え、骨が壊死してしまう疾患です。
股関節唇損傷
股関節の軟骨を覆う関節唇が損傷し、痛みや引っかかり感が生じます。
その他
その他、化膿性股関節炎、結核性股関節炎、外傷性股関節症、色素性絨毛結節性滑膜炎、大腿骨頭すべり症なども股関節症の一種です。
(2)股関節症の原因
股関節症の原因は種類によって異なりますが、主なものは以下の通りです。
加齢
加齢とともに軟骨が摩耗し、関節が変形しやすくなります。
股関節の形成不全
生まれつき股関節の形状が悪いと、軟骨に負担がかかりやすく、変形性股関節症になりやすいです。
肥満
肥満は股関節への負担を増加させ、股関節症のリスクを高めます。
過度な運動
過度な運動は、股関節に負担をかけ、軟骨を損傷する可能性があります。
外傷
股関節の骨折や脱臼などは、股関節症の原因となることがあります。
炎症
関節リウマチなどの炎症性疾患は、股関節の軟骨を破壊し、股関節症を引き起こすことがあります。
血流障害
大腿骨頭壊死は、大腿骨頭への血流が途絶えることで起こります。
2.手術や薬物療法を選択しない理学療法・運動学のアプローチ

股関節症に対する手術・薬物療法を回避した理学療法・運動学アプローチは、症状の緩和や機能改善を目指す上で有効な選択肢となりえます。
(1)理学療法・運動学アプローチのメリット
身体への負担が少ない
手術のような身体への負担がなく、安心して機能改善を目指せます。
副作用のリスクが低い
薬物療法のような副作用の心配がありません。
根本的な改善を目指せる
股関節周囲の筋肉強化や柔軟性向上により、股関節の安定性を高め、症状の根本的な改善を目指せます。
再発予防に役立つ
正しい姿勢や動作を身につけることで、再発を予防できます。
(2)具体的なアプローチ方法
運動療法
① ストレッチ
股関節周囲の筋肉(大殿筋、中殿筋、腸腰筋など)を柔軟にし、関節の可動域を広げます。
② 筋力トレーニング
股関節を支える筋肉(中殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングスなど)を強化し、関節の安定性を高めます。
③ 姿勢矯正
正しい姿勢を身につけ、股関節への負担を軽減します。
④ バランストレーニング
股関節の安定性を高め、転倒予防にもつながります。
生活指導
① 体重管理
肥満は股関節への負担を増加させるため、適切な体重管理を指導します。
② 運動指導
股関節に負担をかけない適切な運動を指導します。
また、日常生活での姿勢や動作の注意点を指導します。
(3)理学療法士のプログラム
理学療法士は、運動学や解剖学の専門家であり、患者様一人ひとりの状態に合わせて、適切な治療プログラムを作成します。
理学療法・運動学アプローチは、効果が現れるまでに時間がかかることがあります。
根気強く続けることが大切です。
評価
股関節の状態や、日常生活での動作などを詳しく評価します。
計画
評価結果に基づいて、個別の運動療法プログラムを作成します。
施術
運動療法や物理療法を行い、症状の改善をサポートします。
指導
日常生活での注意点や、自宅でできる運動などを指導します。
3.股関節の痛みを理学療法士が改善した事例

ここでは、『整体院つなぐ』へ来院され、股関節の痛みが改善した事例をご紹介します。
患者様:吉岡さん(仮名)60代女性
若い頃から立ち仕事が多く、股関節に負担がかかっていました。
数年前から股関節の痛みが出始め、最近では歩くのも辛くなってきたため整形外科を受診したところ、変形性股関節症と診断されました。
医師からは「手術をすれば良くなる」と言われたが、手術への不安が強く、他の治療法を希望していました。
『整体院つなぐ』との出会い
当院へはご友人の紹介で来院されました。
吉岡さんの症状や生活背景を丁寧に聞き取り、身体の状態を詳しく評価しました。
理学療法士による評価
姿勢:猫背気味で、骨盤が前傾している
柔軟性:股関節周囲の筋肉(大殿筋、中殿筋、腸腰筋など)の柔軟性が低下している
筋力:股関節を支える筋肉(中殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングスなど)の筋力が低下している
歩行:歩行時に股関節の痛みがあり、歩幅が狭くなっている
目標
・ 股関節の痛みの軽減
・ 股関節の可動域の改善
・ 歩行能力の向上
・ 日常生活動作の改善
運動療法
・ ストレッチ:股関節周囲の筋肉を柔軟にする
・ 筋力トレーニング:股関節を支える筋肉を鍛える
・ 姿勢矯正:正しい姿勢を身につける
・ 歩行訓練:正しい歩き方を練習する
生活指導
・ 日常生活での注意点や、股関節に負担をかけない動作指導
・ 適切な運動やストレッチの指導
経過
数週間後、股関節の痛み軽減。股関節の可動域が改善。歩行距離が伸びました。
そして数カ月後、股関節の痛みがほとんど消失。
歩行がスムーズになり、日常の動作が楽になりました。
患者様の声
「手術をせずに、ここまで良くなるとは思っていませんでした。本当に感謝しています」
4.理学療法士の役割

変形性股関節症の治療は、手術だけが選択肢ではありません。
理学療法士による運動療法や生活指導によって、症状を改善できる可能性は十分にあります。
理学療法士は、運動学や解剖学の専門知識を活かし、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、適切な運動療法を提案します。
股関節の痛みの原因を特定し、根本的な改善を目指すことで、患者さんの生活の質を高めることができます。
一人ひとり、股関節の痛みの症状や状態は異なります。
必ず専門家に相談し、ご自身に合った改善を目指しましょう。